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最近読んだ本。

ここんとこあまり本レビュー書いてなかったなぁ・・・ということで、とりあえず読んだ本と一言感想だけ羅列。

・ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」
 ×。「警察小説」としては十分面白いけど、私が読みたかった「ミステリ」では無い。
 やはりエラリー・クイーン亡き後、アメリカに「本格推理小説」としてのミステリは存在しないのだろうか。

・木村元彦「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」
 ○。著者の木村氏はフットボール関係の著書が多いのだが、この本に関しては指導者としてのイビチャ・オシムを無条件に崇拝するのではなく、歴史的・政治的に難しい問題を抱えていた東欧で激動すぎる時代を生きたひとりの人間の波乱の半生を綴った伝記として書かれているのがいい。

・田中啓文「ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺2」
 ○。落語という日本独自の文化を題材としたコージー・ミステリ。予想外に面白かった。仮にこれをドラマ化するなら梅寿師匠は是非とも桂ざこばでw
 どうもこういう、一編一編は独立している短編をまとめてひとつながりの物語にする連作物に弱いような気がする。西澤保彦の「解体諸因」とか、北森鴻の「香菜里屋」シリーズとか。

・西澤保彦「彼女が死んだ夜」
 ◎。タックシリーズの第一長編。実はシリーズの中でこれだけ読んでいなかった(角川版が絶版になっていたため)。幻冬舎さん再文庫化ありがとう。
 ラストの「もうひとひねり」が最高。きっちり伏線も敷いてあるし。
 しかし、タカチの人となりについてはスタートからかなりきっちり練りこんであるようだけど(もっともデビュー作の「解体諸因」ではまだ普通の高飛車ですが)タックはなぁ・・・正直、この人物造詣と「依存」のアレがどうにも結びつかない。ああいう母親がいてああいうトラウマがあったのなら、もうちょっと陰の部分があってしかるべきだと思うんだけど。少なくとも、タック一人称の地の文では。

by exbaum | 2008-06-23 02:52 |