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我孫子武丸「弥勒の掌」読了。

とりあえずひとこと。


むなくそわりぃーーー!!!!!


↑あ、これ、褒め言葉のつもりですw 少なくともこの作品に関して言えば、この最悪な読後感こそが肝。
環境団体が烈火のごとく怒り出すようなページ数を費やす「超大作」が全盛の日本ミステリ界において、たったこれだけのページ数で、単純にして破壊力抜群なトラップを仕掛けてくる。その「トリックスター」としての腕もさることながら、通常は「騙されて明かされてスッキリ」なはずの読者が、完璧に騙されたにも関わらず、スッキリどころか言いようのない後味の悪さ、何かこう、とんでもない異物を飲み込んでしまったかのような不快感で締めてくれやがった。

さすがは「殺戮に至る病」を書いた作者だぜ・・・(←つまりはこれを言いたかった)
「かまいたちの夜」ばっかりつくってないで、「文章として読める」ミステリをもっとたくさん書いてほしいもんだ。騙す力は衰えてないんだから。

以下、例によってネタバレあり。





実は途中で一瞬「辻の嫁=蛯原の嫁」って構造を疑ったのだけど・・・でも名前が違うし、何より辻嫁の写真を見た蛯原が何の反応も示さなかったから「あぁこの線は消えたな」と思って脳内からさくっと削除して読み進めていたのだが・・・そっちか・・・!

「時制で騙す」というのは綾辻がずいぶん前にやってるし、「並び順で騙す」というのも同じく綾辻のアレだったり島田荘司御大の作品でもそういうのがあったような気がしますが、極めて単純な仕掛けなのにまたしてもころっと引っかかってしまった。つくづく学習能力の無い読者ですなw


ところで、愛蓮のカウンセリングみたいなの(?)あれはどういうトリックなんだろう。お香の匂いに紛らせてある種の麻薬みたいなのを使ってるとか?唯一それだけが謎として残った。

by exbaum | 2008-04-03 00:44